【船外機のお勉強#3】船外機よくあるトラブルと対処法

オフショア

こんにちは、船長です。

今回は船外機のお勉強シリーズの第3弾ということで、私がこれまでに経験してきた船外機のトラブルについて紹介していきます。

同じように経験する可能性のあるものも、中にはあると思うので参考になれば幸いです。

この記事はこんな人におすすめ。
・船外機船を初めて所有した方
・DIYで整備しようとしている方
・よくあるトラブルの対処法を身につけたい方

突然のエンジン停止

出航してエンジンの出力を上げた時やポイント到着前に急にエンジンが停止することがありました。

理由は故障ではなく、人為的なミスであり、よくやりがちな2つでした。

①燃料タンクの空気穴が閉じてた

これは初心者が必ず通る?(燃料タンクの種類にもよるかも)やりがちなミスになります。

ガソリンタンクには燃料を吸い出した後の負圧を逃すために空気穴が設けられていますが、それを閉めっぱなしで出航してしまうと起こる現象です。

空気がタンクの中に入らないので、燃料ポンプがガソリンを吸い出せずエンジンまで燃料が届かなくなるためエンジン停止に至ります。

これをやってしまうと燃料タンクがぺちゃんこに変形して戻らなくなってしまったり、最悪は燃料ポンプが故障して再始動不可になることが考えられるので注意が必要です。

ちょっとした不注意でエンジンにかなり負担をかけることになるので毎回出航前や、タンク交換後に注意を払う必要があります。

備え付けのタンクではなく、プラスチック製の赤いタンクを使用している場合は毎回確認が必要になります。。

②燃料切れ

これは燃料タンクが小さく1釣行で何度もタンクを交換するようなボートの場合、起こしやすいミスになるかと思います。

筆者の場合は、1釣行で平均60〜80Lの燃料を使います。


ボート購入直後は付属の25Lタンク×4個を燃料がなくなるたびに付け替えていましたが、釣りに夢中になって燃料タンクの確認を少し怠ると燃料切れを起こしてしまいまっていました。

当初は、燃料切れでエンストしたら燃料交換すれば再始動できるから問題ないだろうと安易な考えをしていましたが、大問題だったことに、後の故障で気付かされました。

ある日、沖にでようとマリーナを出港しようとした矢先、エンジン停止し再始動不能になりました。原因は、燃料ポンプの故障でした。

燃料ポンプは燃料がある状態で回っていることで燃料自体がポンプの冷却を兼ねているそうですが、燃料が切れるとポンプが空転し過熱した結果、焦げ付きを起こしその焦げカスが燃料フィルターに堆積していきます。

これを何度も繰り返すと船外機内部にある燃料フィルタが詰まり燃料が送られなくなります。
こうなるとエンジンの再始動はできなくなります。

さらに、焦げカスが燃料フィルターを超えて燃料の噴射装置側で詰まると部品の交換箇所が増え、修理費用も大きくなっていきます。

燃料切れによるエンストは、上述のとおり燃料ポンプが確実に劣化する且つ被害が拡大しやすいので確実に避けなければいけないミスになります。

さらに、燃料切れになるタイミングが高回転で航行中の場合は、エンジンがヒートアップ状態で急停止することになるため#2で述べたとおり、冷却水の循環が急に途絶えエンジンが塩釜状態となります。冷却経路まで劣化させていいことはありません。

以下の画像が焦げ付きを起こした燃料フィルター(高圧ポンプ内の内部フィルタ)に溜まっていた黒く変色したガソリンです。焦げカスのようなものが沈殿しているのもわかると思います。簡単に故障させられるので恐ろしいです。

小型のプレジャーボートで100Lタンク等(大容量タンク)がオプションみたいになっていますが、本当にいけないと思います。。なんでそんな仕様にしてくれているのか意味がわかりません。愚痴です

①も②も燃料タンクが小さなものを使っていると起こりやすくなる傾向があります。
燃料タンクが小さいと燃料タンクの交換頻度も増えるため都度チェックしなければなりません。

対策としては、燃料タンクを1釣行で交換しなくて良いように大きなタンクを搭載することが必要になってくると思います。これからボートを購入する方、乗り換えを検討される方はガソリンタンクの容量等気を使うと良いと思います。

私もできれば純正の100Lタンクを搭載したボートが欲しかったですが、中古だと装備を自由に選べないので、なるべくタンクの交換頻度を下げるためにタンク容量の拡大(25L×4→45L+25L×2)とコックによるタンク切り替えの簡易化をしました。

市販で45Lタンクが売っていますので搭載できる場合は以下のタンクをご検討してみてもいいかもしてません。

ラインの巻き込み

強風時や風向きが目まぐるしく変わるとき、ヒットした魚が船底方向に走った時やオマツリした時等、釣りをしていればPEラインがペラに巻かれてしまったこと、巻かれてしまいそうになったことは何度かありました。

ペラにPEが吸い込まれていったらすぐに、シフトを「N」にしエンジンを停止させましょう。
巻かれた瞬間はラインに下手にテンションがかからないようにした方が、ラインと船外機を痛める確率が減ります。

ペラに巻かれて、付け根の隙間に巻かれてプロペラ軸にめり込んでいってしまうと、比較的高い確率でオイルシールを傷つけてギア室に海水の侵入を許してしまうことに繋がります。

PEが巻かれて切れてしまった場合は、必ず船長に申し出ていただきたいものです。

プロペラ軸のシール部分から入った海水はギアオイルと混ざり合い、乳化しオイル性能を悪化させギアを磨耗や錆びを誘発させます。

ギアオイルの交換は船を陸揚げしなくてはできないため、交換(確認)頻度が比較的低めになりがちで、乳化に気づかず長期間使用すると致命的な故障に繋がりかねません。

そのため、釣り糸がペラに巻き込まれた場合には必ず船員が船長に申し出て船長は適切なメンテナンスをしなくてはなりません。

これも釣りをしていると簡単に起こすことができてしまう大きなトラブルなので、仕掛けを海に入れたまま目を離すなどといった行為はかなりリスクが高いことを船に乗る全員が認識していることが重要と思います。

プロペラが曲がった

筆者は外海に出るまでかなり浅い海域を航行していくフィールドに船を置いています。

そのため、大潮の干潮時など航路を少し外れると座礁してしまうリスクがあります。

そのようなフィールド以外の方でも、台風等が接近した後の釣行では川から流れてきた大きな流木等が潮目にたくさん浮いていたり座礁以外でも船体にダメージを被るリスクは常に存在します。

うっかりそれらにペラを当ててしまうとペラが折れたり曲がってしまったりします。

筆者のボートは、仲間が流木に当ててしまいペラの先端が90度折れ曲がってしまったような形になったことがあります。加えて、干潮時の航行で底を擦ったこともあります。こうなるといつもとは違う振動が船に伝わってきます。

エンジンへの影響としては想定外の振動が加わることになるので、劣化が加速し故障を早めたり燃費が悪化したりという影響が出てきます。

航行中に強い衝撃を受けたり、エンジンの振動に違和感を感じたらプロペラが曲がっていないかチェックすることも頭の片隅に入れておくといいかもしれません。

また、折れ曲がったプロペラを無理やりペンチなどで掴んで形を戻そうとするとそのまま割れて取れてしまうことがよくあるそうなので、修理はプロに任せることをお勧めします。

そもそもプロペラは普通の力では元に戻らないのですが、、
プロは炙りながら徐々に形を戻していくようです。

実際に応急処置として、やってもらった後のプロペラがが以下の写真。
赤波線の箇所から折れ曲がっていたところを直してもらいました。
底を擦った影響で刃先が凸凹してます、、、苦

チルトアップしない

中古船外機購入後、数ヶ月経ったときに突然エンジンがチルトアップできなくなる故障が起きました。
気づけば、突然ということはなくチルトボタンを押しても一瞬動かない気がした時がありました。その時は気のせいかなと思っていたのですが、上記の通り突然完全に動かなくなることが起きます。

前述した通り、筆者のボートを保管しているマリーナ周辺はかなり水深が浅いため、チルトを上げながら底をすらないように航行する必要があるのですが、この時はそれができず干潮の時は身動きが取れなくなるような故障でした。

仮に、海上でPEラインがペラに巻いた時にチルトアップしてラインを回収した後に、突然チルトダウンできなくなる等の場面が発生したことを想像するとゾッとしますね。

そんな時も、以下のことを覚えておくと助かることがあるかもしれません。

チルトダウンができなくなる故障の要因の大多数は、モータのブラシが固着することで起こるようです。

船外機のチルトにはチルトモータというものが備わっており、こちらはブラシモータとなっていることが多いようです。ブラシモータは動かすたびにブラシが鉛筆の芯のように削れそのカスが内部で詰まっていくようです。

こればかりは宿命で、最後はブラシが動きづらくなり、接点不良となります。

そのため、前述したようにチルト不良が起こる際はその前段階で少しだけ前兆が出る場合があります。筆者の場合も、前兆を捉えておけばある程度危険(不便)は回避できたのかもしれません。

もし故障が発生してしまった時の応急処置として木槌なのでチルトモータが取りついている付近に衝撃を加えてあげることで、固まって動きが悪くなったブラシを戻すことができる時があるようです。

ひどい場合は、モータの交換が必要になりますのでプロに相談してみましょう。

ネジが回らない

ここからはメンテナンス時に困った事例になります。

オイルフィルタ等の交換時など、メンテナンスでエンジンカバーを外す必要がある場合があります。

このときエンジンカバーのネジを外す必要がありますが、これが固着していることがよくあります。

エンジンカバーに限らず、船外機のほとんどのネジは固着している、もしくは固着しかけていることが多いので作業自体は簡単でもネジを外す作業が一番大変と言うことがよくありました。

そうならないために、ネジ締めの前にネジに耐水グリスを塗っておく必要があります。

海水をよく被る場所なので、素人が一度外して次回作業しようとした時にはびくともしなくて、プロでも手こずるというようなことにもなりかねないので、作業が簡単なDIYでも気を使っておかなければならないことだと思います。

ただ、何でもかんでも塗ればいいと言うわけではなくて、電気的な導通を確保しておかなければならない箇所も中にはあるのでそのネジの機能をしっかりと確認した上で判断してください。
(アノード等の周りは注意が必要です)

耐水グリスが入っていかない

稼働部に耐水グリスを刺す際に、グリスニップルからなかなかグリスが入っていかず、はみ出てくることはないですか?

また、グリスは入っていくが、例えばドライブシャフトの下側からは出てくるが、上側からは出てこないなどとといったトラブルも経験したことがあります。

これは、グリスが内部で劣化して硬くなることで起こる現象のようです。

対処法をマリーナで聞くと、バーナー等で炙りながら柔らかくして対応するみたいです。

素人ではできない作業なのでこのような症状が出たら、プロにお願いするのが良さそうです。

以下は、筆者の船外機でグリス充填した際に、詰まりが起きた時の写真です。
グリス注入によって2箇所からグリスがはみ出してくるのが本来の形ですが、一箇所からしか出てきません。真ん中でグリスが詰まっているようでした、、

素人が下手に温めるのはエンジンということもあり怖い(&危険、マリーナに迷惑かける可能性あり)のため、プロに任せています。

船外機はなんでもそうですが、定期的にこまめにメンテナンスしていれば以下のような問題も起きづらいと思います。サボると結局プロに頼むことになってせっかくDIYしようと思ってもできないことが多いです、、

おわりに

船外機について無知だった私もトラブルから学んだことは大きかったですが、どれも高い勉強代を支払うことになりました。

そういった出費を避けるためや、万が一トラブルに見舞われたときに冷静に対応するために私が経験したトラブルを紹介してみました。

何かのお役に立てればと思います。

それでは、みなさんの安全なフィッシングライフを願ってこの回は終わりとします。

シェア丸管理人
船長

海が近い町に生まれ育ち、物心ついた時から釣り漬けの毎日。

海・川・池・湖・・・
様々なフィールドで釣りを経験。

現在は主にマイボートで近海から深海まで、旬の美味しい魚を求めて毎日を楽しんでいるサラリーマンアングラー。

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