SLJ(スーパーライトジギング)から深海までの釣りを楽しんでいる中でも、最も難しいとも言える、アカムツジギング(中深海)の釣り方についてご紹介していきます。
ジギングでは船中数匹、一人2,3本取れれば大当たりともいえる程難易度の高いターゲットのため、私自身最初の一匹にたどり着くまでかなり遠回りもしましたし、時間を要しました。
そんな私がこれからアカムツ(中深海)ジギングを始める方に向けたタックル選定等を紹介していきます。
1 アカムツジギングとは?
地域により様々だと思いますが、私の行くポイントでは、水深250m前後を狙います。
フラットな地形では経験上ほとんど釣れたことがなく、岩礁帯や堀等海底に変化があるところで釣れることがほとんどです。
そのため、海底での根掛かりを注意することはもちろんなのですが、当日の海流であったり、風の状況等によっては釣りにならないことが頻繁にあります。
水深250mともなると素直な潮の流れのときの方が珍しいくらいで、ほとんどが2枚潮であったり、3枚潮であったりと複雑な潮流のため、当日の状況によっては、ジグが異様に重く感じる、着底がわからない等ということもしばしばあり、低伸度ラインを使っていようとも適度なサミング、ジグ選定等を迫られる非常に繊細でテクニカルな釣りです。
全身白身の大トロのため、食味も非常に美味な超高級魚です。
2 アカムツジギングのロッド選定
基本的にスロージャーカーシリーズで統一しているため、スロージャーカーの紹介がメインですが、一部他のロッドとの使用感を交えながらおすすめのロッドを紹介します。
スロージャーカー2oz
主に水深100m前後、ジグ200g前後での青物ジギングやタチウオジギングで使用しやすいと感じているモデルです。
中深海で使用する場合は、「潮の流れがないとき」が主な使用場面です。
潮の流れがないときに加え、波が高い場面等では、ロッドが柔らかい分反発しにくいので、波による不自然なアクションを相殺しやすく、アカムツの好む動きすぎない、柔らかなアクションを演出することができます。
ただし、水深200m以深になるとかなり限られた日でしか使用場面がないため、中深海のジギングに限って言えば使用頻度は高くないため、これから始めるのであれば、後述している3ozを優先的に購入することをおすすめします。
スロージャーカー3oz
中深海だけでなく近海ジギングにおいても使用頻度が最も高く非常に汎用性が高いモデルです。
はじめてスロージギングロッドを購入するのであれば、まずは3oz購入をしてもらえれば、ほとんどの場所でオールマイティに使用できます。
私の場合は中深海ジギングにおいて一番最初に使用するのが3ozであり、3ozのしゃくり感を基準に2oz、4ozに変更をしています。
使いやすいのは概ね300g以下くらいまで、3ozを基準にジグが飛び過ぎている気がするなとなれば2oz、逆に全くジグを動かせていない気がする、潮が速くてジグを重くする必要がある場合は4ozに変更する等、私の中でのスタンダード的な位置づけのロッドです。
スロージャーカー4oz
4ozの使用場面は、先述した通りで潮が速い、風が強い等の理由により、300g超以上のジグの使用を余儀なくされた場合です。
基本的に重いジグを使用する程、ジグのシルエットも大きくなり、体への負担が増すのであまり使用したくはありませんが、中深海では着底が取れない、2枚潮、3枚潮でラインが引っ張られる等の理由により重いジグを使用しなければいけない場合が多々あります。
ただし、400g以上を中深海で使用するとロッドが戻りきらないこともあるため、厳しい時では4ozでも厳しいかなという使用感です。
250m前後の中深海では2枚潮、3枚潮だったりすることが多々ありますので日によっては、4ozのロッドがなければ快適な釣りが成立しない日も多々あります。
オシアジガーインフィニティ
軽量、好感度且つ高級感の溢れるシマノのハイエンドクラスのロッドです。
スロージャーカーと比較するとより丈夫なロッドで、同じ3ozでもロッドパワーはオシアジガーの方が上の印象を受けました。
さらに、フルホールディングシートのおかげで、他のロッドよりもパーミングがしやすく、一日ロッドを振っていても疲れにくい仕上がりとなっています。
また、好みの分かれるところではありますが、スロージャーカーが1.91mに対して、オシアジガーは1.96mと若干ですが長くなっていることもあり、フォール幅を大きく取ることが可能ですが、深い所、重いジグを使用したときは、オシアジガーの方が体への負担を大きく感じました。
いずれにせよ、中深海ジギングの繊細な釣りをするのであれば、ロッドメーカーにより仕様も長さも異なり使用感が大きく違うこともあり、竿の使い分けを明確にするためにメーカーを統一して使用することをおすすめします。
ロジカル
私が所持しているロッドではありませんが、友人のロッドを使わせてもらい衝撃を受けたロッドです。
何と言っても「感度」が段違いです。
水深が深くなる、潮流が速い、ジグが重くなる程、ルアーと魚の判別が難しくなるものですが、私が使用している上記のロッドと比較しても明らかに感度が高いです。
ジグ操作に全てをかけるために作られたかのようなロッドで、若干短い上に軽量でかなり使い手を選ぶ洗練されたロッドという印象です。
ただし、新品、中古共に値段が高く、ロジカルシリーズで揃えるとなるとかなりの出費にはなります。
最初からこのロッドを使用してしまうとこの竿以外は使えないと思える程感度に関してはずば抜けています。
ロッド選びまとめ
以上の中から私がおすすめするのはスロージャーカー3ozです。
どれも素晴らしいロッドであることは間違いありませんが、価格面での差がかなり大きいです。
新品で購入するとなるとなるとどれも1本5万円以上ではありますが、スロージャーカーは大きなモデルチェンジが行われていない程完成されている上に長期間販売されていることから中古価格であれば3万円前後くらいで購入することができます。
2万円近くするエントリーモデルを購入した結果、釣れないのを道具のせいにして結局買い替えてしまう人もいることを考えると+1万円でハイエンドモデルのロッドを使用できるため、最もコスパが良いという理由からです。
3 アカムツジギングのリール選定
水深250m程度の中深海ジギングを行うのであれば、高切れや当日の潮によっては300m以上ラインを出すことがあるので、最低でも1号600mのラインキャパのあるリールが絶対条件となります。
各社色々なところがリールを発売していますが、最初からレバードラグのリールを購入するのは止めた方が良いです。
見た目もよく、強いパワーを兼ね備えたレバードラグリールですが、頻繁に底どりすることによるライントラブル、1号程度のラインを使用した釣りですのでそこまで圧倒的なドラグパワーも必要なく、最初からレバードラグを購入することのメリットはほとんどないと考えているので、スタードラグを使用しています。
オシアジガー
1500、2000ともに所持していますが、汎用性は2000番の方が高いです。
1500番だと1号600m程度のラインキャパですが、2000番であれば1200m巻くことが可能で、巻き取りパワーも2000番の方が高いため、回収も楽になります。
しかし、中深海ジギング限って言えば、使いやすいのがどちらかと言えば迷いどころです・・
というのも1500番でもトンボマグロくらいは難無く釣り上げることが可能なくらい仕上がりの高いリールの上、細かなジグ操作、感度を要求されるアカムツジギングにおいては軽さが大きなアドバンテージになると感じているからです。
1500番を2台買う余力があれば良いのですが、ラインが高切れをした際に強制終了になる可能性があるため、1台だけ購入して色々使い回したいのであれば2000番を購入し、1号1200mを巻き、青物、トンジギ用に替えスプールに2号、3号のラインを巻けば、コスパも良く、ほぼ全ての海域を1台のリールで対応することができます。
オシアコンクエスト300HG
近海のライトジギング最高峰リールですが、中深海にも流用可能なスペックを秘めています。
私の場合はサブリールがあるため1号600mを巻いてアカムツジギングにも使用しています。
ただし、スプール径が細くなりがちであり、回収にかなり時間を要してしまうデメリットがあるため、ハンドルを交換し、長くすることにより使用しています。
オシアジガー1500と比較すると巻き取りパワーは劣りますが、ライン捌きの必要がなく、軽いのでハンドルを長くすることにためらいが無ければかなりアカムツジギングでもかなり使いやすいリールとなります。
ソルティガIC
そして私が今一番中深海ジギングで欲しいリールが「ソルティガICーSJ」です。
巻き心地やパワーに関しては、オシアシリーズと遜色ない上に、水深がデジタル表記、デプスアラームが搭載されているので、釣れた棚を目視で把握できます。
比較対象としてオシアコンクエストICもありますが、快適に中深海で使用するならば短いハンドルを交換する必要があるのに対し、ソルティガICーSJは95mmのロングハンドルが最初から付属されているので、わざわざハンドルを買いなおす手間も必要ありません。
このリール1台で近海の青物から中深海までほとんどの海域をカバーすることが可能です。
4 低伸度が必須なPEライン
ラインが太ければ太い程、伸度がなくなりますが、中深海以深の釣りでは潮の影響をまともに受けてしまうので、細い低伸度のPEラインが必須です。
水深にもよるところではありますが通常のラインでは、ほとんど勝負になりません。
0.8号から1.5号までの低い伸度ラインを最低でも600m巻いておけば1回なら高切れしてもギリギリ釣行可能かなというところですので、リールが2台若しくは1200m巻が1台は持っておきたいところです。
私が使用してた範囲では現状1200m巻では2種類、600m巻では3種類くらいしか選択範囲がありません。
PEジガーULT
1200m、600mとそれぞれ選ぶことが可能です。
通常のPEラインに比較してもお値段は高めですが、1200m巻を選択したいのであればこの他にはスーパーファイヤーライン以外の選択肢はありません。
スーパーファイヤーラインと比較しても値段も安く、感度、強度ともに信頼をおけるラインです。
ファイヤーラインに比べて同じ号数で比較すると若干強度は落ちるようですが、そもそも細糸を使用する中深海程度の釣りではどんな大物が掛かろうと捕れない魚は捕れないので大差はありません。
スーパーファイヤーライン
言わずと知れた名作ラインです。
1200mのほかに100m単位でラインを購入することができます。
このラインも感度、強度ともに全く申し分ありません。
単色ラインも販売されていますが、棚取が必要な釣りには向かないため、1台のリールで色々な釣りを堪能したい私は多少値が張りますがマーカー付のカーラードを使用しています。
中深海の細糸を使用する上で強度に関してはそこまで差を感じることはないと先述したところではありますが、PEジガーに比べファイヤーラインの方が糸鳴りが少なく、ラインがゴミを拾うことも少ないのは一つのアドバンテージになります。
あとは値段の差をどう考えるかというところで好みが分かれるところです。
オシアジガーMX4
単色ラインにはなりますが、強度、伸度共にこちらも申し分ありません。
当ブログの船長もこのラインで偶然かかったキハダマグロ10kgを1号で仕留めています。
他のラインに比べ若干コスパに優れていますが、600mしか販売がなく、糸のコーティングが剝がれやすく、ガイド等に黄緑色のコーティングがすぐにくっついて汚れるというデメリットもあります。
剥がれたところで強度等の変化は感じたことはありませんが、不安になるほどコーティングが剥がれやすいです。
また、単色ラインのため、底を攻めるような釣りでは問題ありませんが、タチウオジギング等、棚取ゲームの場合は、目印がないため、使い勝手が良いかと言われると少し疑問が残ります。
5 みんな大好きジグ選び
このジグが絶対というのは感じたことがありませんが、私がよく使用する=私が使いやすいと感じているジグを2種類紹介します。
この他にも色々なジグを使いはしましたが、いかんせん試せるほど数が上がる魚ではないため、数少ないチャンスの中で釣らせてくれたジグばかりを多用することが多く、結果的に3種類のジグで現状では事足りることがほとんどという状態です。
最終的にタックルの中でも最もお金のかかるルアー選びこそ慎重に選ぶべきだと思いますので参考にしてください。
シーフロアコントロール クランキー
アカムツジギングでは持っていない人の方が少ないとまで言える、名作中の名作ジグです。
カラーバリエーション、重量バリエーションも細かい上に、潮受け、飛び全てがバランスの取れた、非常に使いやすいジグです。
値段が高いことがネックではありますが、必ずタックルボックスに一つは入れておかないと安心ができないジグです。
ディープライナー スピンドル
このジグもアカムツジギングをやる人ならもっていない人はいないのではないか?という程の知名度を誇る名作ジグです。
一部では「餌」とまで言われる実績抜群のジグです。
コンパクトなシルエットながら、派手過ぎないアクションで弱ったベイトを演出するアカムツジギング界不動のエースジグ。
アングラーズサポートサービス 87ジグ
細長いシルエットを利用して落下時はスッと着底、飛ばした際は、一面のみ扁平構造により、絶妙な横向き時間を確保しアカムツに捕食の間を与えてくれるジグです。
潮抜けもよく、重量も290g、330g等という決して重すぎず、軽すぎないという絶妙なバランスがとれたジグです。
私がアカムツ(中深海)ジギングにおいて一番最初に使用するパイロット的なジグですが現在は廃盤となってしまっていることもあり、中古市場でしか手に入らないのが残念ではありますが、プレミア価格が付いている訳でもないため1000円位で購入できることもあります。
6 フック
最終的には、好みのフック、アシストラインを決めて、使いたいジグにあわせて好みの長さで作成した方が、コスパも満足度も高いため自作できるようになった方が良いです。
フックについては、突き詰めると書ききれなくなってしまうため、次回に持ち越しとさせて頂きますが、初めてやるのであれば、市販の規制品を購入するしかありません。
ただし、中深海のジギングではアシストラインの長さが様々のため、必ずジグの全長に合わせてフック同士が抱き合わないように、短いアシスト、長いアシストをそれぞれ購入してください。
また、レーシングスペック等の超刺さり重視の線形が極細のフック等も購入されていますが、かなりバラシに気を配ったファイト、ドラグ設定を求められる玄人向きのフックのため最初から購入するのは控えた方が良いです。
引きが強い上に針かかりが浅いことが多く、非常にバレやすい魚のため、フック選びが釣果を左右する肝となります。
まとめ
基本的に、高価な道具を揃えるよりも最低限のタックルで釣りに行く回数を増やすというスタイルのため、中古等を交えてご紹介させてもらいました。
アカムツ(中深海)ジギングでは、遊漁船料も近海に比べ高額の船が多く、船中数匹が当たり前の世界のため、タックルでお金を使うよりも、どんどん場数を増やした方が最初の一匹に繋がりやすいです。
最初の一匹を釣るまでにかなり時間がかかるターゲットではありますが、中深海の釣りを経るとジグの動きのイメージ、海流の影響等がだんだんとわかるようになってくると思いますので最初は苦行でしかありませんが、食べてよし、釣ってよし、おまけに釣りのレベルまで爆上がりするアカムツ(中深海)ジギングを是非嗜んでみてください。
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