こんにちは、シェア丸船長です。
「プレジャーボートの出港判断について基本の考え方がわからない」と悩んでいませんか?
そんな方々のために、プレジャーボートをこれまで操船してきた経験から私が出港判断で考えていることを説明します。
この記事は以下のような人におすすめ!
・船舶免許を取得したばかりの新米船長
・久々にプレジャーボートを操船する船長
・マリーナ任せではなく出港判断を自分でしたい船長
はじめに
マイボートを購入したはいいものの、出港判断って意外と難しいものです。
危険なポイントを理解しておくことが何より重要です。
レンタルボートの場合はマリーナが出港判断を代行しれくれたかもしれませんが、自分で出港判断ができるようになると安心して沖釣りを楽しむこともできますし、急な天候の変化にも対応しやすくなります。
判断基準の一つ波の立ち方などは、地域によって変わりますのでこの記事を読んだから絶対大丈夫ということはありません。一つの考え方として参考にしてください。
※ここでは今までの出港経験から気づいたことを中心に基本的な出港判断を説明します。
所有している23フィートのボートを基準に記載しています。
あくまでも目安や考え方なので最終的な判断はご自身でお願いいたします。
出港判断のタイミング
出港判断は基本的には前日の夕方から夜にかけて予報が更新されたタイミングでしましょう。
それより前でしてしまうと急な予報の変化を見逃す可能性が上がります。
出港前には念の為、再度天気予報を確認してください。
それでは、実際にどんなことに注目して予報を見れば良いのかを、以降で説明します。
POINT1:風速と波高、風向
釣りに行くとなったら当日の風波予報は第一にチェックしましょう。
おすすめの風予報アプリは、こちら↓
風速と波高
最も基本的な出港判断基準として風速があります。
風が強いほど海面が波立ちます。特に、風によって発生する波(以下、風波)は波長がとても短く小型なプレジャーボートは煽られやすく不安定となるため転覆の危険性が高まります。
私が出船判断する風速基準は風速4m/sです。これは経験上ここまでの風速であれば波をかぶることなく航行でき、快適な釣りを行ると思います。
初めてのうちは上記を参考にして地域性や風向きを考慮して自分なりの判断基準を設けていくと、出港できる幅も変わってくると思います。※判断はあくまで自己責任でお願いします。
風向
風向も出船判断だけでなく航行ルート、釣り場を選ぶ際にも重要です。
同じ強さの風速でも、陸方向から吹く風と海側から吹く風とでは後者の方が波は高くなります。
要は風が海面を通り抜ける距離が長くなればなるほど、波は立ちやすくなるということです。
OPENな海域では危険な風速でも、風裏や風が吹いてくる方向に岸があればその海岸付近で釣りをすることができます。
逆を言うと釣り場の波が穏やかでもそのほかは荒れている可能性もあります。帰りのこともよく考えて判断してください。
また、ポイントを選ぶ基準としても知っておきたいポイントです。
うねりの高さと周期
うねりとはその場の風で起こされた波とは違い、沖で起きた風によってできた波が運ばれてきたものです。
うねりは比較的長周期のものが多く、通常の風波と違い船が全体的に大きく上下に動くような波のことが多いです。
したがって、うねりが2m近くても風がなければ出れてしまうことがあります。
※基本は波(うねり含む)が高いときには出ないようにして下さい。
注意するのはうねりの周期です。周期が短いと風波と同じように船が不安定になりやすいです。
うねりが高い時(目安:1m以上)は最低でも10秒以上の周期であるかを確認するとよいでしょう。
ただし場所によっては大きく波が増幅する地形があったりするので、総合的な影響を考慮して安全側で判断してください。
POINT2:天気
天気は釣果を左右するものでもありますね。多少天気が悪くても釣り人は釣り欲の方が優ってしまうものですよね。そんな時でも冷静に出港の判断をしましょう。降水確率や降水量だけでなく各種警報/注意報が発令されていないかも要確認です。
雨
雨予報でも釣りはできます。1時間あたり1〜2mmの降水量であれば危険でないことが多いと感じています。
降水量による釣りの可否は釣りのスタイルや個人の感じ方で分かれる場合もありますが、ボート釣りの場合は視界が悪くなることも考慮する必要があります。
GPSやレーダーを搭載していない船の場合は、岸がわからなくなることもあるので注意してください。
判断基準があっても降水量の予報は当てにならないことが多いので、安全側で判断する決断力も船長は持っておいてください。
雷
陸地ではあまり気にしない雷注意報ですが、ボートの場合は要注意です。
雷を気にするのは「夏」です。
通称雷雲と言われる積乱雲が発生しやすい季節は雷雲から逃げなければいけないことがしばしば。
たまに逃げ遅れている船を見かけますが、非常に怖い思いをしているのではないかと思います。
海の場合は周りに高い建物などがありません。必然的に海に浮いているボートに雷は落ちやすいことを覚えておきましょう。特にロッドはカーボンでできてることが多いので落雷の的になりやすいです。
私も雷で本当に怖い思いをしたことがあるので、知識として必ず覚えておいてください。
船での落雷事故により命を落とされた事例はたくさんあります。
私の出港判断基準は雷注意報が出ていないことです。
万が一、沖で積乱雲(雷雲)が近づいてきてしまった場合は、すぐに釣りを中止し雲の移動方向を確認しながら回避しましょう。
雷予報の確認は「Yahoo天気」の雨雲レーダーが便利です!雷雲(雷)の有無と動きが見れます。
霧
霧が海上に立ち込めている時は魚が釣れないという噂があります。
そんな話はさておき霧がある時は出航を見合わせましょう。
濃霧注意報がでているときは気をつけましょう。
周りの船や障害物が目視できず危険です。
レーダーを搭載した船であってもリスクが高まっていることに変わりはありません。
どうせ出ても魚は釣れないんだからと言い聞かせることも大事です。
POINT3:水道と干満
潮の潮汐による流れが様々な要素と絡み合い、危険な波を発生させることがあります。
水道とは
水道というのは強い流れが発生する水の通り道のことです。
地形的に陸地がくびれができている場合、潮の満ち引きで強い海流が発生します。
例えば愛知県では伊勢湾の入り口が狭くなっており伊良湖水道と呼ばれています。
このような水道上で釣りをしたり、通過して行く場合には潮汐による強い流れや複合的に発生する波に注意を払う必要があります。
以下に紹介するような箇所が、普段のフィールドに当てはまるようであれば入念な航行計画を立てなければなりません。
水道×風向きの考慮
水道の強い流れと風向きが逆行する時、波が強めあい通常の2倍以上の波が発生する可能性があります。
特に大潮の時は、風向き抜きにして危険なフィールドもあります。
その中には、三角波と呼ばれる危険な波が発生することもあるため大変危険です。
私も怖いもの知らずの時代にこの危険な状態に遭遇したことがあります。
前後が波に囲まれて前も後ろも見えなくなり、ひと波乗り越える度に船の方向が不安定になるような状態です。生きた心地はしませんでした。
これは経験してはいけないものだと思いますので十分注意してください。
死亡事故の事例も過去たくさんあります。
水道を通らなければポイントに辿り着けないフィールドの場合、行き帰りのタイミングでの潮汐及び、風を考慮して、危険なタイミングを回避するように航行計画を立てましょう。
水道×地形
水道の強い流れと複雑な海底地形によって大きな波が発生する場合もあります。
何もない海のど真ん中でも部分的に波が大きくなっているのを経験したことはないですか?
長距離を移動する場合に気づくことが多いです。
大抵の場合は、その付近の海底地形は急な駆け上がりになっています。
これと同じ原理で、水道の強い流れと地形変化が重なると大きな波が発生する可能性は高いです。
自分の地域の海底図を参考に危険な箇所を洗い出して頭にインプットしておいて下さい。
POINT4:出船時だけの情報収集では危険
ここまで、紹介した考え方で安全な航海計画を立てて出港したとしても、各種予報は100%的中しない場合もあります。
今日は凪予報だからと油断せず海上でも時間を決めて都度、予報に大きな変化がないかなど気を配る必要があります。
私の場合は、凪の日は3時間に1回、少し荒れ気味の日は1時間に1回、リアルタイムの風と出航前に確認した予報が解離していないかを確認するようにしています。
特に、1日を通して釣りはできそうだけど少しづつ風が強くなっていく予報であったり、数日前は凪予報だったのに当日は少し風が吹く予報に修正された時は予報よりも風が強くなる傾向であることが経験上多いです。
出船時の判断だけでなく、出船1週間前くらいから天気予報をウォッチし予報履歴をなんとなく覚えておくことや、釣りの最中に確認する癖を船長であればつけておきましょう。
終わりに
いかがでしたでしょうか。記事を書いている中で、思ったよりもいろいろなことを考慮して出船判断をしていたのだと感じました。
万が一のことを考えると心配してもしすぎることはありません。
船長であれば、仲間を釣りに釣れて行ってあげたいと思う気持ちは皆同じですが命を預かる以上は、勇気を持った判断ができるようになることが一人前の船長となる第一歩だと思っています。
安全なマリンライフの一助となれば幸いです。
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